その犬は飼い主の帰りを毎日駅の近くで待っていたといいます。
名前はハチ。主人に忠実な犬だと評判のハチは、駅前の商店の人々に慕われていました。コーラが好きなハチのために、米屋の店主は毎日コーラをカップに注いでハチをもてなしていたのです。
ある日、飼い主が電車でどこかへ行ったっきり帰ってこなくなりました。
一月、二月と歳月はすぎても帰らない主人をハチは駅前でずっと待っていました。そんなハチのことを商店の皆は気の毒に思っていました。
そんなある日、主人が返ってきました。実は主人は仕事先で事故にあい、そのまま病院に入院したため帰って来られなかったのです。そして主人は入院中に執筆した小説が評判になり、今後は小説家として働くことになったのです。
それを聞いた商店の人々は、これでハチは大好きな主人と一日一緒にいられて良かったと思いました。
翌日。ハチがまた駅前に現れました。主人は家で小説を書いているはずなのに。ハチは米屋の店主にコーラをせがみました。
次からハチは商店の人々からパチ公と呼ばれるようになりました。
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